北上大 公式ブログ
2009年10月設置。ミステリ小説家を目指しています。 入選の反対は落選ではなく、諦めである。 応募を続けて入選して、小説家と名乗る日を夢見つつ。 小説執筆をしばらく休んで、気象予報士受験を目指しています。
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2012
09,11
15:05
江戸川乱歩賞複数回ノミネート者リスト
CATEGORY[文学賞応募]
江戸川乱歩賞の最終候補作として残ることは大変なことだが、何回も最終候補作に残りながら、受賞できない人がいる。何年か後に受賞する人もいる。
その差は、何だろうか。
これを探るために、第49回以降の受賞作品の巻末に掲載される選評を研究してみよう。(今後書き進めて、リンクを付けます)
まずは、複数回ノミネート者のリストを作成して、目次とする。
三十年さかのぼって、永井彬までをリストアップしてみた。
(見落としがあったら教えてください)
こうしてみると、いまや売れっ子の、東野圭吾さんや真保裕一さん、池井戸潤さんたちも一度は落とされている。厳しい世界だなぁ。
ノミネート回数が一番多いのは、横関大さんの4回だが、彼はその前に最終候補に残らなかった4回があるらしいので、実に8回目の応募で受賞した努力の人だ。
2012年に下村敦史さんも4回目のノミネートとなったが、受賞は逃した。
1回でパスするのがベストなのだろうけど、4回も最終候補に残ることのほうが、難しいことのような気がする。
2010年からは、一次予選通過作も掲載している。2009年以前は不明。
長瀬遼
2009年 第55回 最終候補作 謀略の翼
2010年 第56回 一次予選通過 聖なる影
2011年 第57回 一次予選通過 ドラキュラ
2012年 第58回 最終候補作 焼け跡のジハード
川瀬七緒
2010年 第56回 最終候補作 ヘヴン・ノウズ
2011年 第57回 受賞作 よろずのことに気をつけよ
伊兼源太郎
2009年 第55回 最終候補作 七年誘拐
2010年 第56回 最終候補作 ベタ記事
2011年 第57回 最終候補作 卒業試合
2012年 第58回 二次予選通過 亡霊狩り
下村敦史
2007年 第53回 最終候補作 暗き情熱のアレーナ
2008年 第54回 最終候補作 贖罪になる鐘-サグラダ・ファミリア
2010年 第56回 一次予選通過 司法の煉獄-裁判員制度開始-
2011年 第57回 最終候補作 牙を剥く大地
2012年 第58回 最終候補策 希望の地は、遥か遠く
横関大
2006年 第52回 最終候補作 ライダーズ・ハイ
2007年 第53回 最終候補作 聖クレーマーの憂鬱
2008年 第54回 最終候補作 ハーネス
2010年 第56回 受賞作 再会
(再会のタイムカプセルを改題)
伊予原新
2009年 第55回 最終候補作 二度目の満月
2010年 第56回 最終候補作 ルカの方舟
2010年「お台場アイランドベイビー」で第30回横溝正史ミステリ大賞の大賞を受賞
藤井貴裕
2004年 第50回 最終候補作 ばら撒け!
2010年 第56回 最終候補作 警察と戦うという選択
松浦茂史
2000年 第46回 最終候補作 フェンス
2006年 第52回 最終候補作 メッセージ
2007年 第53回 最終候補作 ロストソルジャー
早瀬乱
2005年 第51回 最終候補作 通過人の31
2006年 第52回 受賞作 三年坂 火の夢
井川衆行
2004年 第50回 最終候補作 孤独な巡礼者
2006年 第52回 最終候補作 オクタゴンの密室
2010年 第56回 一次予選通過 長き眠りの夜明け
2011年 第57回 二次予選通過 晴れた日の木漏れ日の下で
佐藤仁
2002年 第48回 最終候補作 Lost Moment
2003年 第49回 最終候補作 Shift
廣島節也
2001年 第47回 最終候補作 グッバイ、ジャズ・ライン
2002年 第48回 最終候補作 ボッサ・ファミリア
三浦明博
2000年 第46回 最終候補作 カーティス・クリーク
2002年 第48回 受賞作 滅びのモノクローム
首藤瓜於
1999年 第45回 最終候補作 うじ虫の災厄
2000年 第46回 受賞作 脳男
福井晴敏
1997年 第43回 最終候補作 川の深さは
1998年 第44回 受賞作 12(Twelve Y.O.)
池井戸潤(青井祐)
1997年 第43回 最終候補作 神が殺す (青井祐)
1998年 第44回 受賞作 果つる底なき
野沢尚
1995年 第41回 最終候補作 北緯35度の灼熱
1996年 第42回 最終候補作 魔笛
1997年 第43回 受賞作 破線のマリス
高嶋哲夫
1996年 第42回 最終候補作 ペトロ・バグ
1997年 第43回 最終候補作 トルーマン・レター
1999年 『イントゥルーダー』で第16回サントリーミステリー大賞・読者賞をダブル受賞。
渡辺容子(渡辺牡丹)
1995年 第41回 最終候補作 流石(流さるる石のごとく)(渡辺牡丹)
1996年 第42回 受賞作 左手に告げるなかれ
釣巻礼公
1994年 第40回 最終候補作 川沿い町(暴走)
1997年 第43回 最終候補作 榧と拓殖の迷宮(拓殖の迷宮)
1995年 「沈黙の輪」で小説現代新人賞受賞
森健次郎(藤村耕造)
1992年 第38回 最終候補作 至福のとき
1993年 第39回 最終候補作 夜間検証
1995年 「盟約の砦」で横溝正史賞佳作受賞(藤村耕造)
真保裕一
1990年 第36回 最終候補作 代償
1991年 第37回 受賞作 連鎖
梅原克哉(梅原克文)
1990年 第36回 最終候補作 200メガバイトを追え!
1991年 第37回 最終候補作 ロボットは、ためらいなく殺す
1990年、「二重螺旋の悪魔」でSFファンジー大賞を受賞(梅原克文)
阿部陽一
1989年 第35回 最終候補作 クレムリンの道化師
1990年 第36回 受賞作 フェニックスの弔鐘
吉岡道夫
1988年 第34回 最終候補作 鬼火列車
1989年 第35回 最終候補作 メービウスの魔魚(<稲妻>連続殺人事件)
池上敏也
1985年 第31回 最終候補作 極秘新薬殺人事件
1986年 第32回 最終候補作 鳩は死んだ
1988年 第34回 最終候補作 衛星作戦の女
石井敏弘
1986年 第32回 最終候補作 ブラック・バード
1987年 第33回 受賞作 風のターン・ロード
玉塚久純
1977年 第23回 最終候補作 幽霊要塞
1985年 第31回 最終候補作 風燈
1986年 第32回 最終候補作 軍艦旗北へ
東野圭吾
1984年 第30回 最終候補作 魔球
1985年 第31回 受賞作 放課後
大須賀祥浩
1983年 第29回 最終候補作 港名(ポート)コード・531
1984年 第30回 最終候補作 黄金艦隊の海 -the Caribbean Sea-
1985年 第31回 最終候補作 阿片戦争殺人事件
鳥井加南子(取井科南子)
1983年 第29回 最終候補作 トワイライト (取井科南子)
1984年 第30回 受賞作 天女の末裔
岡島二人
1981年 第27回 最終候補作 あした天気にしておくれ
1982年 第28回 受賞作 焦茶色のパステル
永井彬
1980年 第26回 最終候補作 M8以前(連続殺人マグニチュード8)(M8の殺意)
1981年 第27回 受賞作 原子炉の蟹
[11回]
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2012
09,11
14:41
下村敦史さんへの選評まとめ
CATEGORY[文学賞応募]
下村敦史さんは、第53回、第54回、第57回、第58回と4回も江戸川乱歩賞最終候補者となったが、まだ受賞には至っていない。
選評からその理由が見えてくるだろうか。
第53回(2007年)『暗き情熱のアレーナ』
落選
綾辻行人
(要旨)
「闘牛のことはよく調べましたね」の感想だが、それが前に出すぎて、推理小説としての面白さを殺ぐ結果となったことが残念。
大沢在昌
(要旨)
闘牛に関する作者の知識がヒロイン像と矛盾している。僅か一年で素人女性がプロになるとか、末端密売人に現役の闘牛士を使うとか説得力がない。
恩田陸
(要旨)
闘牛の場面の描写は素晴らしいが、ヒロインの設定が不自然で、落差がありすぎる。
真保裕一
(要旨)
闘牛のシーンには作者の入れ込みを感じるが、人物設定や事件の全体像に強引さが目立つ。物語に厚みを。
天童荒太
(要旨)
闘牛シーンは素晴らしい。しかし、主人公が僅か一年で闘牛士になるなど、謎解きに向けて失速。無理に謎を作る必要はない。
皆さんが口をそろえて、闘牛に関する薀蓄を褒めているが、物語としてみたときにリアリティがないとか、ヒロインがうそ臭いとか、小説としてのできばえに注文がついた格好だ。
第54回(2008年)『贖罪になる鐘-サグラダ・ファミリア』
落選
内田康夫
(要旨)
ガウディの薀蓄はもう少し割愛できる。設計図があろうがなかろうが建設作業に関係ないはず。しかも白紙ではがっかり。
大沢在昌
(要旨)
一人として思慮深い登場人物がおらず、全員の行動が短絡的だ。ガウディという題材に振り回されてしまったか。
恩田陸
(要旨)
昨年は闘牛で素晴らしい描写があったが、今年はすべて説明文だ。何より去年一番不自然だったヒロインが今年もまた主人公だったのが解せない。
天童荒太
(要旨)
スペインの謎の構えは壮大だが、その謎を構築する肝心のリアリティの積み上げ方に弱点が多い。
東野圭吾
(要旨)
主人公の行動に感情移入できなかった。殺人容疑の父親が行方不明なのに近所の家庭内暴力に関わるかな。壮大な謎が、身近な範囲だけで解決するのが拍子抜けだし、面白いのはガウディのエピソードだけではだめ。異国文化をストーリーに練り上げようとする姿勢は素晴らしい。
ガウディの薀蓄に固まりすぎて、ヒロインの行動や、謎解きに充分な配慮が出来なかったと評されているようだ。
第57回(2011年)『牙を剥く大地』
落選
内田康夫
(要旨)
物語のスケールが大きい点に交換を抱いた。簡潔な表現で難しい状況を鮮やかに描いてわれわれの知らない世界を面白く見せてもらった。最高点をつけたが、委員諸氏の同意を得られなかった。
京極夏彦
(要旨)
この作品への具体的な論評なしだが、応募するために書かれた作品は、魅力がたりない。「傾向と対策」めいた精進をするよりも、受賞作は「商品化される」ということをより意識すべきなのだろう。
桐野夏生
(要旨)
カンボジアのディテールは面白く読んだ。しかしながら物語の運びはかなり苦しい。主人公は同じ仕事をした父親の現状をなぜ把握しようとしないのか。単純なぎもんを解決すること。モールス信号や新型地雷を出すよりもっとシンプルなやり方があったように思う。
今野敏
(要旨)
よく調べてあり勉強になるが、物語の魅力にとぼしい。土地の風土と情勢に凝りすぎ。いくつかのトリックと謎が物語り全体に関与していない。登場人物も類型的。トリックに策を弄するより、物語の必然性を良く考える。
東野圭吾
(要旨)
いろいろな話の優先順位が不明瞭。オチも意外性がない。人身売買組織の行動、新型地雷が除去可能なら何のための隠蔽工作か。カンボジアの状況については臨場感があった。シーンごとのエピソードも面白い。文章力は候補作中ナンバーワン。欠点は少ないが無難なだけでは受賞できない。次は日本を舞台にすることも考えてみたらどうか。
昨年、一昨年と同様、外国の謎をテーマにして、その調査部分は褒められているが、物語全体の仕上がりに苦情があるようだ。文章力はお墨付きがあるので、ストーリテリングが課題ということか。この傾向は3年間変わっていないので、薀蓄部分を少し減らして物語に傾注してみたらどうだろうか。
次回受賞となれば、横関大さんに続いて4度目の正直となるか。
ここから下は、2012年9月11日追記
第58回(2012年)『希望の地は、遥か遠く』
落選
石田衣良
(要旨)
タイトルが拙い。ブラジル移民の部分は資料にべったり。海外の新規な風物が小説のメインになる時代は終わっている。若いのだから自分の目で今の日本を描けないだろうか。
京極夏彦
(要旨)
個別評価ないが、小説は部分ではなく、総体として評価されるものである。
桐野夏生
(要旨)
前作に続き大変よく取材している。ジャングルやブラジルの臨場感はうまいが、物語の運びに誇張と無理がある。シンプルにしたほうが強靭になるように思う。
今野敏
(要旨)
文章はたいへん読みやすい。情景描写もこなれている。中盤までは安心して読めるが、後半の謎解きに入ると不自然さやご都合主義が目立つ。今後とも海外を舞台とした作品を応募し続けるなら、受賞は難しいだろう。
東野圭吾
(要旨)
自然や風土の描写はうまい。だが肝心の物語が形を成していない。無関係なエピソードが多く、後半が駆け足。しかも人物の行動が不自然。海外を舞台にするのは結構だが、その描写にばかり気が向き、説得力のある人間ドラマを構築できないのでは意味がない。
選評を読む限り、昨年までと同じことを言われている。つまり、綿密な取材に基づく情景描写には皆さんが才能が認めている。その反面、物語展開に無理があるというのも共通した認識のようだ。
また、頑なに海外のテーマを題材にしているが、現在の日本を書いてみたらというアドバイスも、昨年と同じである。このままでは受賞が難しいとまで言われてしまったのだから、再考するのもアリかな。
北上大
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2012
04,22
14:49
江戸川乱歩賞落選しました
CATEGORY[文学賞応募]
本日発売の小説現代5月号に、第58回江戸川乱歩賞の予選審査結果が掲載されていた。
応募数が367編
一次通過は98編
二次通過は22編(寸評付き)
最終候補は5編(7月にこの中から受賞作が選ばれる)
最終候補はともかく、せめて一次予選は通過できると期待していたが、上位四分の一にも入れず、あえなく箸棒で落選。
そんなに悪くないと思っていたのだけれど、ダメだなぁ。
乱歩賞にそぐわない、SF仕立てが良くなかったのかなぁ。
なんだか、アイディアも浮かばないし、書く気も起こらない。
でも、まぁ、初めての乱歩賞なので落選は当たり前と割り切って、気持ちの整理をつけて、やり直さなくちゃ。
北上大
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2012
02,22
12:00
『沈底魚』を読み終えた。
CATEGORY[文学賞応募]
第53回江戸川乱歩賞受賞作品『沈底魚』を読み終えた。
江戸川乱歩賞にはめずらしいスパイ物で、面白く読めた。
前半の登場人物の多さに辟易した。
読者を混乱させようとして、登場人物を設定しているのだろうかとさえ思ってしまった。
外事二課で紅一点のねえちゃん、井田恵美、パンチパーマの吉野、カミソリの寺田俊夫、区役所係長のような小川大喜、ダルマの大野などは、外事二課の雰囲気を醸し出すために設定されたキャラなのか、一、二回しか出てこないし、さして重要な役割でもないような気がする。しかし、特異な職場の雰囲気を感じさせる効果はあるようだ。
話は、二転三転して面白いのだが、どうも突発的に新しい事実が出てきて、読者に与えられたヒントだけでは、解決しようがないような不公平感を感じる。この辺は、綾辻行人が後出じゃんけんと評している感覚に近い。
でも、緊迫した簡潔な文章と、五味、凸井といった特徴的なキャラが物語をぐいぐい引っ張っていき、受賞に値する作品だと思う。
選評から抜粋
『根本的なところで強い拒否反応を示した。物語の進められ方が”後出じゃんけん”的に過ぎることがその主たる原因か』
綾辻行人
『職業として公安刑事を努める男たちの描写が秀逸である。ただ、エスピオナージュのはまりがちな罠、「最初から何もしなければ、何も起こらない」におちいっているのが少し惜しかった。抑制された筆づかいは「大人のミステリ」と言える』
大沢在昌
『元自衛官や元外交官のノンフィクションなどと読み比べると細部のツメがやや撒く感じた。登場人物設定にリアリティがあり、マンボウのシーンなどとても印象的で忘れがたいものだった』
恩田陸
『現在の社会情勢をふまえた物語挑戦を高く評価する。刑事たちの存在感も抜きん出ていた。主人公に多くを語らせずに物語を進めていく手さばきを見ても、書ける人であることは疑いない』
真保裕一
『選んだ題材に意外性があり、最後まで地に足をつけて読ませる筆力がある。政治的リアルさを求められる部分は省略するクレバーさもある。資質は高い。細部と共に全体を俯瞰しうる視力の幅がある』
天童荒太
北上大
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2012
02,18
21:48
『誘拐児』を読み終えた
CATEGORY[文学賞応募]
来年の江戸川乱歩賞応募対策として、最近の受賞作を次々に読んでいる。
第54回江戸川乱歩賞受賞作品『誘拐児』を読み終えた。
冒頭の、誘拐犯逮捕シーンかと思わせる緊迫したプロローグに期待は一気に高まった。
舞台は終戦直後の昭和21年、有楽町の闇市。
これからどうなるんだろう、期待を込めて読み進めると、だんだん飽きてきた。
登場人物が多くて、区別がつかなくなって、誰が主役なのか、どの人に感情移入したら良いのか分からなくなって、しらけてきた。
中盤以降は読むのが苦痛になってきた。刑事が二組、別々に動いているらしいが、はっきりと区別がつかないし、おばさんみたいな人が、誰だっけ?状態。
終盤の郵便のトリック(?)は意味が良く分からなかった。読み直す気力もなくなっていた。
わたしの読解能力が足りないのかもしれないが、そうだとすれば、一億二千万人の日本人の半分くらいにとっては、分かりにくい小説だといって良いだろう。自分を誇示するつもりはないが、老人や赤ちゃんを含めた平均値レベルの読解力は持っているつもりだ。
乱歩賞には物足りない。
選考委員の選評は要旨は次の通り
『人情味ある物語だが、警察のもたつきや記者との連携がぼやけて説得力がない。戸籍の問題や書留郵便のカラクリも成立するのかどうか』
(内田康夫)
『筆力に可能性を感じた。読者を驚かそうという意欲は持っていただきたい』
(大沢在昌)
『入り口の大きさに比べて話が小さい。どんどん地味に、身の回りの話になってしまう。謎解きの部分が分かりにくかった』
(恩田陸)
『候補作中最も文章が長けている。人とモノとの関係の機微まで書ける。優れたエピソードを書ける力量が受賞の決め手になった。ただし、肝心の部分で弱点が散見される。(物語の根幹を成す箇所を偶然に頼ると読者は興ざめる)』
(天童荒太)
『文章、ストーリー、人物描写、すべてが安定しており物語世界に入りやすかった。捜査が奏功したのが偶然の結果では読者は共感しにくい。頭一つ出ているということで推したが、圧勝ではない』
(東野圭吾)
北上大
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2012
02,17
05:58
『東京ダモイ』を読み終えた
CATEGORY[文学賞応募]
来年の江戸川乱歩賞応募の資料として、最近の乱歩賞受賞作を続けて読んでいる。
第52回(2006年)江戸川乱歩賞受賞作品、鏑木蓮作『東京ダモイ』を読み終えた。
ひと言の感想で言うなら、屁理屈がめんどくさいので、途中で投げ出したくなった。
俳句の中に隠された謎解きで事件を解決を進めていくのだが、こんな『頭の体操』みたいなものが、ミステリといえるのだろうか。
選評のなかでも
『捜査・解明に緊迫感・意外性が乏しい』
(綾辻行人)、
『作中のトリックにかなりの無理が感じられ説得力に欠けていた』
(井上夢人)、
『リアリティは、私には許容範囲ぎりぎりだった』
(大沢在昌)、
『多少の無理な設定も力業で乗り切れる』
(乃南アサ)
と、5人中4人が設定とかリアリティに疑問を投げかけている。
残ろる一人の真保裕一も
『刑事と主人公たちが二手に分かれて謎を解く手続きには、もたつき感と歯切れの悪さが残った』
とあまり納得している風ではない。
シベリア俘虜収容所のことはよく調べているし、描写も鋭く迫力があるので引き込まれ、力量がある点は素晴らしい。この点は、選考委員も認めているところである。最近の乱歩賞の傾向として、資料調査の結果をどれだけ表現するか、悪く言えば知識のひけらかしに走りすぎて、ミステリ本来のストーリーの楽しみが薄れているような気がする。
はっきり言うと、お勉強にはなったが、面白くはなかった。
北上大
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2012
02,14
22:17
横関大さんへの選評まとめ
CATEGORY[文学賞応募]
横関大さんは、第52回、53回、54回の次に一年空けて56回の江戸川乱歩賞最終候補者となり、その第56回(2010年)には、見事に受賞された。
その選評に進歩のあとがあるのか。
受賞作品の巻末の選評の要旨を抜粋した。
第52回(2006年)『ライダース・ハイ』
落選
綾辻行人
(要旨)
もっとも高い点をつけた。書きっぷりはプロでも通用するが、ストーリーが安易だ。
ハードボイルドとしてもパンチが軽い。
井上夢人
(要旨)
達者な文章とこなれたストーリーだが、後半三分の二あたりで、事件設定の甘さがボロボロと露呈して失速する。実力があるので再挑戦して欲しい。
大沢在昌
(要旨)
文章に味があり、会話のキレも良い。書ける人だ。肝心の事件構造が甘く、敵役が巨悪に見えず、犯人の貧弱さが目立ってしまった。
真保裕一
(要旨)
文章には安定感があるが、肝心の事件にリアリティがない。大手企業のテストやアイドル登場の対決も強引で漫画になってしまった。書ける人なので次回に期待したい。
乃南アサ
(要旨)
前半が魅力的だったが、合板ガタガタの展開が残念。良く考えて再チャレンジ期待。
筆力がある人だとは誰もが認めているが、事件のリアリティがなく、後半崩れてしまったというのが大方の論評
第53回(2007年)『聖クレーマーの憂鬱』
落選
綾辻行人
(要旨)
あるレベルには達しているが、前作と同じ欠点。書ける人なので、これまでの創作技法を全面的に見直して。
大沢在昌
(要旨)
文章が上手い人だが昨年と同じ過ちを繰り返した。社会的地位の高い人の犯行としてはずさんだ。刑事の描写も失敗している。あまりにリアリティが欠如している。考えすぎ、作りすぎて、隘路に嵌ってしまった。
恩田陸
(要旨)
私の採点では点が高かった。キャラクターが書き分けられていたし、少年野球がタイムリミットになるところも面白い。しかし、あまりに無難すぎてオリジナリティが感じられない。このバランスの良さはシナリオ向きではないか。
真保裕一
(要旨)
欠点ばかりが大きくなった感じ。なまじ筆力があるからすべて主人公に語らせてしまい、作者の工夫が抜け落ちている。少ない材料を見回して安易に進めたようだし、親子の因縁話も急ごしらえが過ぎる。書ける人ほどこういう隘路に陥りやすい。書き散らかしたのではせっかくの才能が台無しだ。
天童荒太
(要旨)
文章は読みやすく軽快で書ける人だと思う。だが、謎や解き方まで軽くなり現実感がない。主人公が優秀なプロの設定だが、普通のプロにしか書けていない。わざわざハードルを高くする必要はない。
昨年と同じく、文章はうまいが、事件のリアリティに欠けるという評価のようだ。
第54回(2008年)『ハーネス』
落選
内田康夫
(要旨)
盲導犬訓練のテーマは面白いがその部分が冗長すぎる。事件の真相が予測できたのが物足りない。警察の能力低下や警察への通報電話を犯人の知人が取るなどご都合主義が目立つ。
大沢在昌
(要旨)
物語の運びは手馴れている。過去二作で犯人と動機にリアリティがない欠点は解消されているが、その結果、物語が小ぢんまりして、読者を引っ張る驚きに欠けた。どうすればいいのかといわれても、選考会に答えはない。
恩田陸
(要旨)
タイトルがそっけない。うまいし読みやすいが平均点以上にはなっておらず、すべてが予想どうりの展開で、そこから一歩も出ていない。
天童荒太
(要旨)
資料を小説化する力をもっているし軽快な展開も良い。だが、肝心の謎に隙が多い。核心の謎に厚みを持たせてほしい。
東野圭吾
(要旨)
序盤で首をかしげた。盲導犬の訓練士にカムバックしようとする主人公の神経が理解できない。事件の真相が盲導犬と関係ない点も不満。人間を見る目に温かみがあり文章もうまい。犯罪を絡ませなくてもミステリは書けるということを知ってほしい。
平均点レベルの出来との評価。無難に小ぢんまりまとめているが、読者を惹きつけるダイナミックさがないということか。
第56回(2010年)『再会のタイムカプセル』
受賞作品(『再会』に改題)
内田康夫
(要旨)
登場人物のそれぞれの視点でストーリーが進行するので見えているものが信用できないが、それもレトリック効果か。文章は簡明で読みやすい。プロット作りで苦心のあとが窺えるが、ご都合主義の面もある。博美が偶然列車に乗り合わせるとか。大きなウネリや衝撃的なクライマックスはないが、淡々と読ませ、良く練られたプロットと平明な文章力に力を感じた。
恩田陸
(要旨)
目新しい材料は何もなく、面白く自然に読ませるところに感心した。安定性は抜群。何度も落選すると相当凹むはずなのに粘り強く書き続けてこられたのには本当に頭が下がる。
今野敏
(要旨)
私以外の選考委員の評価が高かった。もって回った言い回しや、読者に隠し事をしているような書き方が好きではない。
天童荒太
(要旨)
3度目で格段に上達した。状況説明や人物説明など端的な文章で表現できる力があり、章の転換も前に弾む感じがある。視点の転換がトリックようなかたちで活きている。刑事を一人かませたことで、謎全体が変化する。事件の派手さではなく、語り口で引っ張ったことを高く評価したい。
瑕疵はある。物語の発端が弱く銃声のトリックも実はかなり苦しい。推敲によってほぼ解消されているものと信じる。
東野圭吾
(要旨)
すんなりと作品世界に入っていくことができた。現在進行形の事件と23年前の事件の謎が解かれようとしている流れにも快感を覚えた。この方の作品が最終候補に残るのは4度目らしい。背伸びすることをやめ「乱歩賞の傾向と対策」のようなものから開放されたのが承引だと思う。欠点は、万引き少年の心をフォローしていない点と、メイントリックに難がある点だが、解決策はあると思うので一考して貰いたい。
物語にダイナミックさや斬新なテーマはないが、文章がうまくストーリーをまとめているので受賞したと書かれている。
作家で小説指導者の若桜木虔さんは、この作品を駄作だと滅茶苦茶に貶している。目新しいテーマ性はまったくなく、テレビの2時間ドラマで見たようなことを書き並べているだけで、新しい発想がなくても過去の作品から良いとこ取りして並べれば、乱歩賞が受賞できるという点では、大いに参考になると、公募ガイド(2012年2月号)に批判的に書いている。
北上大
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2012
02,12
15:21
川瀬七於さんへの選評まとめ
CATEGORY[文学賞応募]
川瀬七於さんは、第56回と57回の江戸川乱歩賞最終候補者となり、第57回(2011年)には、見事に受賞された。
その選評に進歩のあとがあるのか。
受賞作品の巻末の選評の要旨を抜粋した。
第56回(2010年)『ヘヴン・ノウズ』
落選
内田康夫(
要旨)
臓器移植はテーマとして目新しさはない。
この作品の特色は、目新しい法医昆虫学の分野を取り上げたことに尽きる。
被害者の親同士が不正者に復習するストーリーはありきたりなので演出に腐心しているようだ。
舞台が牧歌的な山村は面白い。人形作家を使った人柱の言い伝え、村の因習で雰囲気作りにある程度成功している。
昆虫や草などのエピソードは効果的だが、なぜ田舎に集まってきたのか、説得力がない。犯行目的が悪人の罪業を暴くことなら単純に晒し者にすればよいことだ。
法医昆虫学が事件解決に役立ったと思えなかった。犯人側の描写を隠しすぎだし、善人が突然変異するのも無理。
総じて文章は上手く、終始面白く読めた。ラストに来て、少しバタバタ感があるけれど、読後感も悪くなかった。物語を整理して、一本、筋の通った構成にすればと惜しまれる。
恩田陸
(要旨)
小説は上手で、内容も盛りだくさん。
法医昆虫学や湿地帯の植生がヒントになるなど細部は面白いのだが、田舎への移住、村の伝説、球体間接人形、移植医療と場面ごとにジャンルが変わる。
警察小説なのか、伝奇モノなのか幻想系なのか、社会派なのか、乗り切れずに終わった。タイトルの意味不明。
今野敏
(要旨)
楽しく読んだ。情報とディテールに圧倒される思いだった。
しかし、警察の捜査があまりにもいい加減だ。
天童荒太
(要旨)
虫や植物の薀蓄が面白い。死体、昔話、人形との会話も説得力を持ち、独特な才能がある。警察については不勉強、犯行の意図と行動が矛盾している。
心停止した人を脳死判定し、止まった心臓を移植できるのだろうか。
東野圭吾
(要旨)
法医昆虫学、女性学者が本作品にはまったく不要、これが最大の欠点。
警察の通常捜査で容易に解決できる。無駄なエピソードが多い上に、警察を無能にしたから、全体ストーリーが長くなっただけだ。
専門知識や特殊な職業を扱ったからといって、小説の評価が上がるわけではない。まずは、一本筋の通ったミステリを書いて欲しい。
ものめずらしいテーマ(法医昆虫学)を持ち出したが、事件の本質に関係ない点を指摘されている。テーマ以外の部分が粗雑だということか?
第57回(2011年)『よろずのことに気をつけよ』
受賞作品
内田康夫
(要旨)
面白く読めた。過度に専門的でないので、素人にもついてゆける。文章は今風で、巧みで会話のテンポもよく、興味をつないでゆく。経文のような唄やもろもろの題材が実在か創作か分からないが面白い。
完全な悲劇に終わらせなかったことで読後感も悪くない。粗削りな分を差し引いても受賞に値する。
京極夏彦
(要旨)
作品の根幹を成すだろう知見に対する無理解や誤謬が散見し、それは致命的なレヴェルにまで達していた。材料に対する基礎的な知識不足の感は否めない。
受賞したのは、小説として面白く書けていたからだ。
致命的な瑕疵を退けるだけの筆力と構成力を持っていた。表現力、構成力、キャラクター、題材、すべてが作品のために貢献している。
桐野夏生
(要旨)
文章は安定しているし、タイトルも悪くない。人物造形も描写もそれなり。
登場人物が会話で薀蓄を語るのが知識が上滑りな感じで、地の文が薄い分冗長になる。高齢の復習者には、恐怖というより滑稽味を感じてしまった。
筆力のある書き手であることは間違いない。
今野敏
(要旨)
読者を惹き付ける魅力にあふれている。書きすぎず隠しすぎずのバランスが良い。
会話に過剰な部分があり、好き嫌いが分かれる。
大事件の割りに、警察の関わりがあいまいだとの指摘もあったが、充分に推せると判断した。
東野圭吾
(要旨)
物語の流れを早く作る点で優れている。
謎を提示して、さらに次の謎が出てくる構成は良く練られている。
警察との協力関係が不足している点が気になった。
北上大
前半の呪術の解説の部分では、興味が持てず眠くなってしまった。
殺人事件と、呪術とのかかわりを無理やりつけようとして、大した根拠もないのに、高知、山形、白河としかも夜中に跳びまわって、無理やりベッドシーンを作ったところが、わざとらしい。夜中に出かけて、何も出来ないのなら、翌朝始発で飛べば良いことだ。しかも、男女が同じベッドで抱き合って、何も起きないのが不自然だ。何も起きないのなら、無理してあのシーンを作る必要はない。
200年前の言い伝えから、芋づるのように解決の道が開ける幸運には辟易した。こんなことで捜査が進むのなら、誰も苦労をしない。
全体的に、ウソっぽくて、入り込めなかった。
取ってつけたような、最後の格闘シーンが一番良かった。
これでも、乱歩賞受賞作なのかと、厳しい見方をした。
北上大
[1回]
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